今から30年ほど前、高校の文化祭に、マニュアルの一眼レフで撮影した月食の連続写真を出展したことがある。撮影方法はこうである。カメラは三脚に固定し、シャッターボタンにはレリーズをつけ、月食の時間中、シャッターを開きっぱなしにする。このままだと月の運行が線で写るので、レンズのふたをシャッターの代わりにして、5分おきにふたを取る。ふたを取る時間は月の欠け具合にあわせて1~5秒。これは勘である。このような原始的な方法で、1枚の写真に十数個の月を焼き付けていった。デジカメ時代の今であれば画像処理ソフトで複数枚の写真を合成して連続写真を作るのだろう。
さて、このブログでも何度も取り上げているが、日食、月食があると小学生の頃から興奮してしまう性格である。
この衝動を形に残すには写真であるが、今、手元にあるカメラは4年ほど前に某家電量販店の安売りで買った6,000円のコンデジしかない。月のクレーターがわかるほどの望遠撮影とか連続写真までは無理としても、何とかうまく撮れないだろうか。
昨年10月8日、試行錯誤の結果、自宅ベランダから皆既月食を撮影することに成功した。Google+に上げたところ、9800回以上の閲覧があった。
件のデジカメはオリンパスのVG145というコンデジ。普段は設定を気にすることなく撮影できるが、月食撮影ではプログラムモードで予め撮影モードを設定しておく必要がある。しかし、設定が面倒。設定のボタンが効き過ぎるので、設定したい項目を選たいときにカーソルが次の設定項目は移ってしまい、イライラしてくるので注意である。
設定値は下記。
- 感度:ISO100
- フラッシュ撮影:off
- 露出補正:-0.3
絞りやシャッタースピードまでは設定できないので、ここは自動にせざるを得ない。またこの機種は5倍ズーム搭載だが、これは画像をトリミングしているのと同じなので使わない。つまり写真が荒れてしまうのだ。望遠撮影はできないので、月と町の風景を写り込むようにした。またトリミングは画像加工時にすることで、荒れを軽減できる。
三脚もいちおう持っているのだが、シャッターボタンを押すときにデジカメ本体も動いてしまうので使わない。コンクリート塀の上などカメラを置ける場所があれば、そこにカメラを置き、手でカメラを包み込むようにして固定しシャッターを押す。シャッタースピードは1/2秒程度になるようである。しかし、それでもぶれることがあるので、4~5枚ぐらい撮影しておくとよい。
今回も、当時の同様の方法で撮影を試みることにした。
気になるのは天候。前回、那覇は曇りがちで、皆既中の月が辛うじて雲間から見えた程度であったが、今回も雲行きが怪しく、前半から皆既中までははっきりとした月を見ることはできなかった。冒頭の写真は4月4日19時55分の月である。
20時35分の月。写真をクリックすると拡大画像を見ることができます。
肉眼では影の部分も赤黒く見えていたが、写真では再現できず。
22時20分の月。写真をクリックすると拡大画像を見ることができます。
今回の月食は皆既の時間が異常に短く12分間しかなかった。その間、雲に覆われ皆既中の月は見ることはできず。月食も終わりに近づくにつれ、薄雲に覆われた月を見ることができた。露出補正を-1.7まで落としたが、月の微妙な模様や影がつぶれてしまう。6000円のコンデジの限界だろう。
ちなみに22時20分現在の那覇の気温は24.1℃であった。
※本稿はGoogle+に投稿した内容を再構成したものです。