小学生の頃、天文学者になりたかった。特に日食や月食には並々ならぬ情熱を注いでいた。小学生時代の日食観測への情熱は、すでに3年前に書いているので割愛するが、月食に至っては、一眼レフのシャッターを開きっぱなしにして、レンズのふたをシャッター代わりに撮影した月食の連続写真を高校の文化祭に出展したほどの力のいれようであった。
小学生の頃の話に戻そう。当時、親から買ってもらった宇宙の本には日本で見られる日食の一覧表が載っていた。
「2012年5月21日には、神戸にいながらにして金環食が見られる!」
そのころから、今日の金環食を楽しみにしていた。
そして今日がやってきた。今から30年以上前の小学生の私も想像できなかったことだが、現実の私は、妙な縁で神戸ではなく、金環日食帯から外れた那覇にいる。タイムマシンがあれば、宇宙の本を読みながら今日をわくわくしていた私に、現実を教えてやりたいと思うほど残念である。
さて、昨夜の那覇は雨がじとじとと降っていた。しかし、今朝、外は雲よりも空の割合が多い。これは日食日和ではないか。金環食は無理でも最大90%が欠けるダイナミックな部分日食が見られるのだ。小学生の頃の天文学者になりたかった私の日食魂に火がついた。
なんとかして記録に残せないだろうか。3年前は携帯電話のカメラで撮影して失敗しているので、今回は手元のコンパクトデジタルカメラと日食メガネで撮影してみた。
今日午前7時の太陽である。下の黒い部分はゆいレール(沖縄都市モノレール)のレールである。普通に撮ると手ぶれを起こすため、急遽、三脚を取り出して撮影に挑んだ。
那覇市の最大食分は0.901(太陽直径比90.1%が月に隠される)。午前7時13分にその瞬間を迎えるが、このカメラでその瞬間は難しい。部屋に戻ってくると、ちょうどテレビで動画にすると比較的きれいに撮れるという情報をしていたので、急遽ビデオカメラを取り出した。しかし三脚のねじ穴がなぜかビデオカメラにあわなかったため、手ぶれしまくったものの、その瞬間を撮影できた。それが下記の動画である。当サイトでは初めての動画でもある。
近くで、日食を見ている人が多いのかと思ったが、家の近所では私と、普段は朝7時になっても起きないのに、今朝朝6時から起きた小学1年生の娘だけが熱心に観測していただけ。妻にあっては、25年前の沖縄金環日食をリアルで見ているので、あまり関心はなさそうだった。
ちなみに、次に沖縄で見られる金環食は2085年6月22日。その4年後の2089年10月4日には宮古島で皆既日食が見られる。
各地の日食・月食については日食・月食・星食情報データベースで探してほしい。