Gmailの3種類の別名アドレス

Gmailには「他のアドレスを追加」という機能がある。最近、この機能を「新しいメールアドレスが作れる」機能と勘違いしている人が増えているそうだ。

Gmailは、かつてmixiのように「招待状」がないと利用できなかった。そのためGmailのアカウントを持っている人といえばIT業界の関係者か、もしくはメールをバリバリ使いこなしている人に限られていた。しかし、昨年からは日本国内で、2月から全世界で「招待状」がなくても誰でもGmailを取得できるようになったことからGmailの独特の使用感に慣れない人が増えたように思う。

そもそも「他のアドレスを追加」機能とは、例えば出張などで常用しているメールアドレスのアクセスができないような場合で、常用しているメールアドレスからメールを送りたい場合に、Gmail側で常用のアドレスを「他のアドレスを追加」機能で登録しておき、Gmailのウェブメールを利用して、常用アドレスからメールを送信するといった使い方を想定した機能である。ほかにも携帯電話のアドレスをこのように追加しておけば、パソコンから携帯電話のアドレスで送信することも可能である。

※ウェブメールに限らず、メールソフトからでも予め追加したアドレスからの送信は可能です

ところで、Gmailには「新しいメールアドレスを追加する」機能がないわけではない。厳密には新しいメールアドレスではないのだが、メインのアドレスとは別のメールアドレスをユーザーが無制限に作ることができるのだ。これをGmailでは「別名アドレス」と呼んでいる。実はこの別名アドレスには3種類のパターンがある。

最も有名なものでは「ユーザー名+好きな文字列@gmail.com」がある。
username@gmail.comというアドレスを持っている人に、username+work@gmail.comというアドレスでメールを送っても、そのメールはusername@gmail.comに届く。

いったいこれで何ができるかというと、例えば、

メールマガジンAの購読にはusername+amag@gmail.com
通販業者B社からの連絡はusername+btuhan@gmail.com
会員制サイトC社からの通知はusername+c@gmail.com

のように登録する相手先によって、それぞれ違うメールアドレスを使い分けることができる。こうすることによりメールソフトの振り分け機能やGmailのラベル機能でメールを分類しやすくできるほか、Gmailのフィルタ機能を組み合わせれば、特定のメールだけを携帯電話や他のメールアドレスへ転送したり、断ってもしつこく送ってくるメールマガジンなどに対してはゴミ箱直行にするなどという使い方ができる。また使い分けたメールアドレスの一つに迷惑メールが届き始めたら、そのメールアドレスを第三者に漏らした業者を割り出すこともできたりする。

ちなみに、この「ユーザー名+好きな文字列」の別名アドレスはGoogle Apps for Your Domainの独自ドメインでも利用できる。

しかし、このようなサービスを行っている業者の中には「+」の文字が入ったメールアドレスを受け付けないところもあるようだ。そこで「ピリオド」の登場である。

Gmailではピリオド付きのユーザー名も使用できるが、実はピリオドはGmailのシステムの中では文字とは見なされていない。つまりuser.name@gmail.com宛へメールを送ると、そのメールはusername@gmail.comに届くのだ。従って

u.sername@gmail.com
us.ername@gmail.com
user.nam.e@gmail.com
u.s.e.r.n.a.m.e@gmail.com

などのメールアドレスに送られたメールも全てusername@gmail.comのメールボックスに入る。

ただし、Gmail申込み時にピリオド付きのユーザー名で申し込んだ場合、ピリオドなしのメールアドレスで受信はできるが、ログインのユーザー名からピリオドを取ってログインすることはできないので要注意である。

次に第3の別名アドレス...それはメールアドレスのドメイン名「gmail.com」を「googlemail.com」に変えることである。「googlemail.com」とはヨーロッパの一部の国で「Gmail」が他社の商標になっているために用意された代替のドメイン名である。もちろんヨーロッパでなくとも、このドメイン名は使える。username@googlemail.com宛てにメールを送るとusername@gmail.comで受信できる。これが以前、記事で少し取り上げた「ドメインエイリアス」である。さすがに、この「第3の別名アドレス」は実用性がないかもしれないが、こういうこともできるということで紹介しておく。

なお、これらの別名アドレスからメールを送信する場合は、冒頭で紹介した「他のアドレスを追加」機能を使う。

  1. ウェブメールにログインし「設定」を開く
  2. 「アカウントの設定」タブを開いて「名前」の「他のメール アドレスを追加」のリンクを開く
  3. 「メール アドレスを追加」という別窓が開くので、メールアドレス欄に別名アドレスを入力する。名前欄は変更が必要であれば設定
  4. 「次のステップ」を押すと別窓が閉じて名前欄に設定した別名メールが追加される
  5. そしてその下にある「自分のアドレスに送信されたメッセージを受け取ったとき」を「メッセージの受信先のアドレスから返信する。」にチェックを入れて、設定完了である

こうすることによってウェブメールからではあるが、別名アドレスで送信ができるようになる。ただし、別名アドレスから送信した場合、メールのヘッダに本来のGmailアドレスが表示されるので悪用はできない。