昨夜、妻の実家で映画の無料券をもらってきた。ただ、その無料券の期限が31日までであったため、見に行くとすれば今日しかなかった。特に見たい映画はなかったが、とりあえず何かと話題の「華氏911」をみることにした。夫婦で見るような映画でもないのだが、いざ映画館に入ると、話題性からなのか若い女性同士やカップルの観客が意外に多いことに驚いた。県外の反応はわからないが、沖縄は、この映画の主役とも言うべき「米軍」とかかわりが深いことも関係あるのだろうか。
米軍といえば、今月13日、宜野湾市の沖縄国際大学に普天間基地所属の在日米軍のヘリが墜落した事件は記憶に新しい。意外に報道されていないが、実は宜野湾市で墜落したヘリと同型のヘリコプターが宜野湾市の事故の2日前、イラク領内をパトロール中に墜落し乗員2名が亡くなるという事故が起きていたそうだ。戦地と戦地ではないところでおこった事故を比べるのはフェアではないが、同型機が同時期に相次いで墜落していることは、基地の島・沖縄に住む者として不気味である。在日米軍も宜野湾の事故直後しばらくは同型機の飛行訓練を中止していたぐらいである。
華氏911はブッシュ政権とビンラディン一家との癒着を浮き彫りにして、テロの戦いという大義名分によるイラク攻撃の矛盾を突く内容となっている。映画の冒頭、ブッシュ大統領は同時多発テロまでの任期中、42%が休暇だった事実を明かす。この間には米国へのテロ予告に関する資料なども大統領に渡される予定だったが、大統領は休暇のため目を通さなかったという。いっぽうヘリ墜落事故後、沖縄県知事は海外出張から緊急帰国し、この事故対策で首相への面会を求めたが、首相は夏休みを理由に、知事には会わなかった。それどころか夏休み中、オリンピックをテレビ観戦していたという。オリンピックを見るのは構わないが、もしこれが事故ではなく、何らかのテロだったとしたら、華氏911で描かれるブッシュ大統領と同じではないだろうか。幸い死者は出なかったが、墜落現場となった大学や周辺の一般住宅に物的被害が出ており、国の対応としては事故ではなく自然災害と同様の対策を講じてもよかったのではないかと思う。阪神大震災直後の村山首相の対応のまずさともオーバーラップしてくる。
ヘリ墜落の原因について、民間施設(大学)に墜落したにも関わらず、沖縄県警の現場検証が米軍によって拒否され、しかも米軍の検証資料を県警に示すことにも難色を示している。在日米軍は事故から10日後、原因について「後部回転翼の補完部品の一部に当たる小型の支持装置がなくなり、回転翼が制御を失った」と発表したのだが、その直後、普天間基地から同型機を含むヘリがイラクへ向けて飛び立ったことが確認されている。米軍は2、3日後に飛行訓練再開することを外務省に伝達していたらしいが、さすがにこれについては在日米軍問題に消極的な政府も直接、アメリカ国務長官に抗議している。
私も含めて沖縄県外の人は沖縄で起こった在日米軍問題は「沖縄だけの問題」で片付けてしまい勝ちである。しかし、この事実を振り返ると沖縄だけではなく、日本政府そのものがアメリカになめられていることを感じないだろうか。
備忘録- 沖縄県は在日米軍施設の75%が集中し、県の面積の10%が米軍基地で占められている。沖縄県嘉手納町に至っては町の面積の83%が米軍基地。いっぽう宮古地域には米軍施設はない。
- 県民総支出に占める在日米軍関係者の支出は5.0%(2000年度)