馨vs薫

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高校生の頃、数学のテストで満点を取ったことがある。ところが先生が配点をミスしてしまい100点満点にすべきところが96点満点になってしまった。しかし数学の先生はある方法で100点満点になる方法を考えた。なんと、解答用紙の氏名をフルネームで書いた人に「プラス4点」を与えたのである。この数学のテストで満点を取ったにもかかわらず、私は96点だった。当時、私はテストの解答用紙には苗字だけしか書かなかった。何しろ「馨」という文字は画数が多く、書くのがめんどくさい。少しでも解答に時間を割きたかった私は「馨」を省略していたのである。幼稚園時代からこれまで同じクラスや職場で同姓の人と一緒になったことがない。「菊地馨」という人物を識別するには内々では「菊地」だけでよかったのである。しかし、このときほど自分の名前の「漢字」を恨んだことはない。

ところで、今日の沖縄タイムスの夕刊には面白い記事が出ていた。
12月6日、沖縄県北中城(きたなかぐすく)村の村長選挙で、なんと同姓同名の人が立候補することとなったそうだ。この村長選挙では3人が立候補を表明しているがそのうち2人が「キャンカオル」というお名前なのだ。この2人とは現職村長の喜屋武馨氏と元村議会議長の喜屋武薫氏。名前もさることながら、苗字も画数が多そうである。投票用紙にスラスラと書ける字ではない。公職選挙法では、ひらがなやカタカナで投票した場合、有効票にはなるが判別ができないため「按分票」として扱われ、両候補に0.5票ずつ振り分けられる。当然、候補者も差別化を迫られることになる。夕刊にはポスターの写真が出ていたのだが、これによると、現村長は「キヤン村長」、元村議会議長は「ギチョ(議長)カオル」の"愛称"で選挙戦を戦うことになったようだ。ただし立候補の届け出は、この愛称では受け付けられないため、本名での届け出になるという。

ちなみに村の選挙管理委員会は、漢字で投票した場合は、判別できれば多少の誤字は有効票とし、公職選挙法では無効扱いになる「村長のカオル」とか「元議長のキャン」も有効にすることを検討しているとか。

これに対してもう一人の候補者である新垣邦男氏は面白くないだろう。新垣陣営は厳密に公職選挙法に則った開票を選管に訴えている。とはいえ、選挙戦ではうるさい候補者名の連呼がなくなり、政策を主張しあう理想的な選挙戦になるのではないだろうか。

参考