気まぐれ歳時記2001年9月1日
 

野球を支配する「3」の謎

 1968年9月17日、タイガースの江夏豊投手はシーズン最多奪三振の新記録を達成しました。この年、江夏投手は最終的に401奪三振を記録しています。今、日本人が大リーグで活躍する時代であるにも関わらず、この記録は未だ破られていません。
 ところで、三振に限らず野球には「3」という数字がつきものです。
 3ストライクで1アウト、3アウトでチェンジ、1試合は9回(3×3)、外野手は3人、内野手は投手・捕手を含めて6人(3×2)…。さらに、こじつければ3番打者は最強打者、いいバッターは「3割バッター」と形容されます。
 こう考えると、野球は3という数字に支配されているスポーツといえます。
 しかも、野球ができた当初は現在の四球(フォアボール)も九球(ナインボール)でした。
 これは野球が生まれ育った欧米各国(元祖はイギリスのクリケット、野球はクリケットがアメリカで発展したスポーツ)の思想的な考え方がルールに含まれていたからだという説があります。
 これらの国では、自然界は「動物、植物、鉱物」の3要素で構成されているという考え方から「3」は完全無欠を表す数字とされているのです。
 その考え方を象徴しているのがローマ神話です。この神話によると世界は天界のジュピター、海神のネプチューン、地獄の鬼であるブルートの3人の神で支配され、なおかつジュピターは3本の光を背後から放ち、ネプチューンは3つに分かれたヤリを持ち、プルートは3つの頭を持つイヌを飼っています。
 神話とはいえ、いろいろなところで「3」という数字にこだわっている点は、野球に似ています。
 もし日本で野球が生まれていたら、ルールはどうなっていたことでしょう。もし皆さんが野球をするときは、ルールを少し変えて試合をしてみるのも面白いかも知れません。

気まぐれコラム目次へ菊地馨のページへ