気まぐれ歳時記2001年7月1日
 

それでも地球はふるえている

 「それでも地球は動いている」といったのは17世紀の天文学者ガリレオ・ガリレイ。
 ところが最近、地球は回転しているだけではなく、毎日、微妙にふるえていることが、わかりました。
 なんと、3〜4分に1回。最大でも10万分の1ミリの幅で震えているのです。もちろん、人体で感じることはできません。これを地球の「自由振動」といいます。
 これまで、地球上のどこかでマグニチュード8以上の巨大地震が発生した直後、余震とは別に、地球全体が微妙にふるえる現象が確認されていました。
 最近の研究によると、この振動は大地震に関係なく毎日発生していることが判明し、しかも、年間を通して7月が最も大きくふるえる時期であることがわかったのです。
 これは東京大学地震研究所の大学院生のグループが、1989年から97年に世界25か所の地震計で観測したデータを調査したところ、地震のデータを省いても、微妙な振動のデータが残っていたことから明らかになりました。
 自由振動の原因は地球を取り巻く空気が原因ではないかと考えられています。
 自由振動が最も大きくなる7月は、地球が発する赤外線が最も多くなる時期と重なります。
 太陽光線で地表が暖められると、地面から赤外線が放出されます。7月は、陸地が多い北半球で夏になることから、ほかの季節よりも多く赤外線を放出されます。この現象により地表付近の空気が暖められ、上昇気流が発生します。しかし、上空では温度が低いために、暖められた空気は急激に冷やされ、気流は再び地面へ下降します。この空気の動きが、地球規模で繰り返されることにより、地球そのものが気流にほんろうされ、微妙にふるえている…と考えられています。

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