気まぐれ歳時記2000年7月1日
 

なぜ「納豆」は「豆腐」ではないのか?

 いきなりですが、クイズです。
「生で食べることができないのに、腐ると食べられる穀物って何?」
 答えは大豆。
 豆腐、しょうゆ、味噌、きなこ…大豆は、米とともに日本人の食生活になじみのある食材ですが生で食べることはできません。しかし、腐らせると「納豆」として食べることができます。
 ところで不思議だとは思いませんか?
 豆が腐ると書いて「豆腐」なのに、実際の豆腐は腐った豆ではありません。逆に納豆は腐った(正確には「発酵した」)豆なのに「豆腐」ではありません。
 納豆は中国から奈良時代に伝わった大豆加工食品を、鎌倉時代になって僧侶が精進料理用に改良したものがルーツとされています。
 このとき、寺の納屋(なや)で納豆が作られたことから「納豆」という字が当てられたとされています。
 一方「豆腐」は、今では世界的に日本食の代表とされていますが、もともとは中国で考案された食品です。
 日本には唐から帰国した遣唐使によって伝えられたとされています。
 そもそも「腐」という字は、日本語では「腐る」という意味ですが、中国では「固体で弾力がある物」という意味で「豆腐」という文字があてられました。

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