気まぐれ歳時記2001年12月1日
 

宇宙人の見つけ方?!

 1982年12月、アメリカ映画「E.T.」が日本で封切られ、大ブームを巻き起こしました。「E.T.」は「Extra Terrestrial(地球外生物)」の略で、9歳の男の子と宇宙人とのふれあいを映し出し、世界中の感動をさらっていきました。
 「E.T.」を撮影したスティーブン・スピルバーグ監督は、この作品以前にも「未知との遭遇」という宇宙人を題材にしたSF映画を手がけていますが、「E.T.」とともに、これまでのSF映画の常識を破り「宇宙人は地球人の敵でもなければ危険な存在ではない」というテーマで製作しています。
 そのスピルバーグ監督の姿勢に感動したのが、NASAでアポロ計画やボイジャー計画を推し進めた天文学者カール・セーガン博士でした。「E.T.」が公開された翌年、セーガン博士はスピルバーグ監督に現実の「宇宙人捜し」計画に協力してくれるように要請しました。スピルバーグ監督は快く引き受け、セーガン博士の計画に資金援助をしています。
 この計画は「百万チャンネル地球外分析計画(略して「META計画」)」といい地球上の電波望遠鏡2基を使い、宇宙からやってくる電波を常時840万チャンネルの周波数で受信するというもので、1983年から88年まで実施されました。
 計画は、もし地球の外に知的生命がいるとしたら、彼らが住んでいる星から何らかの「人工的な電波」が発信されているだろうという仮説に基づいて行われ、6年間に受信された電波は60兆件もありました。これらの電波源を、META計画終了後、さらに2年間を費やして解析したところ、そのほとんどは地球上の無線局や電気機器が発する電磁波で、宇宙から発せられた電波も、人工衛星の電波や「パルサー」とよばれる星が自然に発する電磁波でした。また受信機の誤作動といったデータも含まれていました。
 しかし、60兆件もの膨大なデータのうち11件が正体不明のデータとして残りました。中でも1986年11月26日に2分間も受信された電波は天の川にある恒星付近から発信されていることがわかり、天文学者の間で「地球外生物が実在する証拠」として注目されました。計画終了後も、この電波が発信された星の付近を電波望遠鏡で観測しましたが、再び同じ電波を受信することはできず、地球外生命が存在する根拠を満たすことはできませんでした。
 1993年、NASAでも同様の計画が予定されていましたが、アメリカ議会の承認が得られず中止になっています。
 もし、このMETA計画で宇宙人からの信号が受信できていなかったとすると、地球から25光年の範囲に宇宙人は存在しないことが証明されてしまいます。しかし、その結果は、私たちが知らない宇宙人が知っているのかもしれません。

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