気まぐれ歳時記2000年6月1日
 

時間を支配する?

 6月12日は、歴史で必ず習う「大化の改新」(645年)が始まった日。「大化の改新」が何なのかということは別の時間に譲るとして、この大化の改新では「元号」というものが定められました。「大化の改新」があった年を「大化元年」と決め、この制度は現在も続いています。
 元号は、当時の中国の皇帝が領土や国民だけでなく「時間」をも支配するために作られた制度で、日本も、その真似をしたものです。とはいえ、当時は現在の西暦のように統一した「年」を表す方法(年号)がなかったので、使い方によっては便利な制度でした。
 例えば歴史の本に「5年前に○○があった」と書くと、時の経過と共に「年」がずれてきますが、これを「平成5年に○○があった」と書くと「○○があった年」は変わりませんから都合がいいわけです。
 ところが不便なこともあります。
 大きな災害や事件があると、天皇の「この元号は縁起が悪い」の一言で、年号を勝手に変えられたのです。今でこそメディアが発達しているので、元号が変わったことを瞬時に全国へ知らせることができますが、当時は、日本中に元号が変わったことを伝えるのに時間を要し、せっかくの元号の利点も台無しでした(現在は「天皇1人につき1つの元号」と法律で決められています)。
 ちなみに、今や世界共通の年号となっている「西暦」は、キリストの誕生日が西暦元年であると解釈されていますが、これは西暦533年にローマの修道士が勝手に決めたものです。
 つまり西暦533年以前に「西暦」は存在しなかったのです。また聖書の記述などからキリストは紀元前4年より前に生まれていたとする説が有力となっています。

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