気まぐれ歳時記1999年11月1日
 

まじめなトイレの話

 カセットテープ、ワシントンクラブ、横浜…

 これは、なんの名前だと思いますか?
 実はすべて「トイレ」を意味する業界用語です。
 カセットテープは「音入れ」、ワシントンクラブは頭文字をとると英語の「W.C」(本当は Water Closet の略)になるから、横浜は電話の市外局番「045」が「オシッコ」と読めるところから、それぞれトイレを指すそうです。
 客と接する職業では、客の前で「トイレに行く」と言うのは失礼にあたるため「カセットテープを取りに行く」「ワシントンクラブへ行く」などと言い換えます。
 でも客商売に限らず、人前でトイレの話をするのは下品と思われるかもしれません。

 なぜ、前半でこのような話をしたかというと、11月10日は「トイレの日」なのです。10年前、日本トイレ協会が「いいトイレ」の語呂合わせから11月10日をトイレの日としました。

 人前で話すことすら、ためらってしまうトイレの話題ですが、最近では便器メーカー関係者や大学教授らが集って、毎年「トイレシンポジウム」が開かれています。
 昨年は神戸市で、このシンポジウムがありました。テーマは「学校のトイレ」。全国から学校の先生が集まって熱のこもった討議が行われました。
 開催地が神戸市ということもあって「防災拠点としての学校のトイレ」が議題の中心でしたが、分科会では「トイレの落書きをなくす方法」といった話題も取りあげられています。ある学校ではトイレの落書きをなくすため、トイレのデザインを生徒に決めさせて、改装したところ、落書きをする生徒がいなくなったとの報告がありました。
 また小中学生もシンポジウムに参加して「学校のトイレはなぜ恐いのか」といった話題も討論されています。


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