気まぐれ歳時記1999年6月13日
 

ラッキーゾーンとタイガース

 タイガースの善戦で、関西は盛り上がっています。
 新聞のスポーツ面を見ると、勝率、打率、防御率、ゲーム差…スポーツにしては細かすぎる数字が踊っています。
 これほど小数点以下の数字にこだわっていながら、いい加減なのがプロ野球の球場の広さ。
 サッカーコートから卓球台に至るまで、世界中、どこへいっても同じ大きさですが、野球だけは違います。
 1947年〜1992年まで、甲子園球場には「ラッキーゾーン」というものがありました。
 戦前、甲子園球場でのホームランといえば、ほとんどがランニングホームランでした。それは当時、甲子園球場が日本一の広さを誇っていたからです。
 一方で、他の球団が本拠地として使っていた球場は狭かったため、フェンスを越える打球のホームランが多く、観客は、そのホームランに歓喜しました。
 そこで当時のタイガースの監督は、自分のチームを応援する観客のためにも、フェンス越えのホームランを増やしたほうがいいのでは、と考え、グラウンドに「ラッキーゾーン」と名付けたフェンスを張りました。
 これまで外野フライだった打球でもフェンスを越えればホームランになることから「ラッキー」と命名されました。
 時代は平成になり、多くの球団が新しい球場へ本拠地を移したり、球場のドーム化によって、甲子園球場よりも広い球場がプロ野球で使われるようになります。
 そして、ラッキーゾーンは時代遅れとなり、1992年3月、甲子園球場から撤去されました。

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