気まぐれ歳時記
特別編
2002年9月7日
 

神戸空港を見に行こう 2002

先端医療センター
 ムービングウオークから眺める景色は1年前と違い、少し変化があった。去年は無駄に広い更地を横切って行ったのだが「先端医療センター」なる建物群の建設工事が進められていた。この「センター」はバブル崩壊と震災で景気が低迷する神戸に新産業を根付かせようと、最先端の医療産業を誘致するための中核施設になる…らしい。将来は現在ポートアイランド1期の中心にある中央市民病院も、この付近に移転するという話がある。
 かつて市民病院は現在の新幹線新神戸駅の西隣にあった(現在の新神戸オリエンタルホテルがある場所)。1981年にポートアイランドに移転したのだが、震災直後「もし市民病院が移転していなければ何人の命を救えただろうか」と市民のあいだで論議されたことがあった。震災直後、ポートアイランドと本土を結ぶ神戸大橋は落下寸前であり、神戸市街地で負傷したけが人を市民病院に搬入することはできなかったのだ。
 このように教訓とすべき事例があったにもかかわらず、神戸市当局は市民病院を「新産業誘致」「高度医療の実施」の御旗の元、さらに市街地から遠ざけようとしているのである。もし、再び阪神・淡路大震災級の災害が神戸を襲ったら、どうなるのだろうか。きっと神戸市は世界中の笑い者にされるだろう。なお医療産業都市構想と神戸空港はセットで進められている。市の言い分をまとめると世界中の学者や医療機器を神戸に集めやすくするために空港が必要なのだそうだ。ここで培った先端医療を市民に活用するのはいいことだが、市街地から遠いところに病院を作って何が先端医療であろうか。患者を神戸空港経由で搬入するのだろうか。どこかピントがずれているとしか言いようがない。
 『神戸新聞』9月6日付け朝刊によると、この地区に進出する企業に対して10年間、土地を無償提供するということが決まったそうだ。計画当初、ポートアイランド2期地区は空港ができる利便性を重視して、進出する企業に土地を分譲する計画になっていたが、それが「賃貸」に変更され、ついには期限付きとはいえ「無償提供」を余儀なくされてしまった格好である。新産業誘致どころか、市の計画そのものは「斜陽産業」そのものではないか。
 ポートアイランド2期は神戸の未来に希望を与える期待の星なのか。いきなりキメックセンター1階にあった信用金庫がなくなっているではないか。それもそのはず、キメックセンターから見える景色は1年前とほとんど変わらなかった。空港開港を目前にしてポートアイランドは地盤沈下の連続である。今年に入ってからだけでも、関空と神戸を高速船で結んでいた「K-JET」が廃止され、島内唯一のレンタカー会社「神戸エコカー」もなくなった。そして来年3月には遊園地ポートピアランドが閉園となる。
看板を消されるKou's  バブル絶頂期、ダイエーはポートアイランド2期にディズニーランド級の遊園地を作る計画を持っていたが、そのダイエーも今は死に体である。これを象徴するかのように、創業者の肝いりでオープンした「Kou's」1号店の流れを組むポートアイランド店は今年8月31日で閉店してしまっているではないか。
 (写真は看板が消される「Kou's」…2002年9月5日撮影)

順路