気まぐれコラム
震災のきずあとを訪ねて
1998年7月1日
 

北淡町・野島断層保存館〜その6

断層上の家  「保存館」としては、ここまでが見学コースとなる。建物を出ると、正面に断層上に立つ民家が見える。現在は公開されていないが来年春には、この民家の1階が「メモリアルハウス」として、そのまま公開される予定だ。(写真はフェンス越しに撮影したので、周囲にフェンスが写りこんでいます)
 おそらく大地震関連の史跡や遺跡で、被害にあった民家が、そのまま資料として保存、公開されるのは、初めてのことではないだろうか。また、来年も訪れてみたい。(今年夏に予定されている国の天然記念物指定では、この建物も「野島断層」の一部として指定される)

 本当なら、ここから「地震科学館」という施設へ行くことになるのだが、工事中のため、当然ながら公開されていない。「科学館」は2000年に完成予定で、震災資料室や、阪神・淡路大震災と全く同じ揺れを体験できるゾーンなどが作られるらしい。

 これらを横目に見ながら、順路にしたがうと、再び保存館の建物の中へ。すると映写室にたどり着く。
 ここでは地震当日の様子を記録した15分ほどのビデオが見られる。前評判では、部屋が狭く「見られない」という人が多いと聞いていたが、私が行った時間は12時前で団体客が昼食の時間ということもあって、空いていたため、立ち見ではあるが並ぶこともなく、ゆっくりと見ることができた。が、私の場合、あの大地震を震度7エリアで直に体験しているので、それほど目新しいものではなかったということを付け加えておく。
 しかし遠方から来られる方は、是非とも見ておいて、阪神・淡路大震災を記憶にとどめて欲しいと願う。
 これで現時点での保存館の見学コースは終わりである。
 保存館の前には、北淡町が運営する大きな物産館がある。
 ここでは、淡路島や明石海峡大橋にちなむお土産が買えるが、ただ単に観光みやげを売っている施設ではない。
 防災グッズも一通り買い揃えられるのである。非常持ち出し袋や乾パン、そして万一生き埋めになったときのためのホイッスルといった物も買える。
 また淡路島の旅行ガイドと一緒に震災関連図書も売っている。残念ながら拙著『阪神大震災・神戸からの報告書』(データハウス刊)はなかったが、神戸新聞社発行の震災写真集が売れ筋のようだった。
 さらに震災を契機に北淡町と姉妹提携している北海道奥尻町の物産品も購入できる。
淡路島・野島活断層玉ねぎパイ  最後に、ここで見つけた究極の土産物をご紹介したい。
 その名も「淡路島・野島活断層玉ねぎパイ」
 活断層という負の遺産を土産物の題材にするところに地元の人のバイタリティーを感じるが、玉ねぎは淡路島の特産で、北海道に次いで第2位の生産高をほこる。それをパイにしたものだが、味は…食べてからのお楽しみということで。
 ちなみに売上金の一部は北淡町社会福祉協議会に寄付される。(おわり)


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