おっぱ乳業は今年で創立十年目。同社の松清嗣社長は栃木県で酪農に携わっていたが、生産調整で思うように乳を搾れない状況に嫌気がさし、一九八〇年、奥さんの故郷・沖縄に来て酪農を始めた。しかし、やがて沖縄でも生産調整の壁にぶつかり、酪農を切り離して乳処理業に転じ、現在のおっぱ乳業を立ち上げた。 商品は当初、牛乳だけだったが、今ではカフェオレにソフトクリーム、ヨーグルト、ジェラート十六種類と多様化している。これらの生産に使用する原乳約五百リットル(一日当たり)は、大宜味村や国頭村、名護市の酪農家から仕入れている。 おっぱ牛乳の希少性が高いのは、生産量自体が少ないことに加え、同社が家庭用の宅配を重視しているため。今帰仁村周辺の約三百世帯に宅配している以外は、「道の駅」許田など、ごくわずかな店にしか置かれていない。 ソフトクリームにしても、販売所は県内六か所だけ。松さんは、「うちは大手とは違うので、販売先がバッティングしないよう、ゆっくりと広げていきたいですね」と、いたってマイペースだ。 今後は、九月頃を目途にジェラートの全国展開をしていく予定で、販売ツールとしてホームページの作成も視野に入れている。 「泡盛レーズンやマンゴーなど、沖縄の素材を強調し、沖縄発のアイスを全国に広めていきたいですね。」 おっぱの味が全国に届く日は、そう遠くないようだ。
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