今回、このブログでは初めて「Google AdSense」の話題を取り上げる。「Google AdSense」とは当サイトをはじめ、多くのホームページで導入されているGoogleの広告配信サービスのこと。このサービスについてはいろんなサイトで研究されているので当サイトであまり詳しくは取り上げないが、決して無関心だったわけではない。その証拠に悪質な広告主のリストを作成する「Google AdSense ブラックリスト日本語版」に協力していたりする。
余談だが、いつの間にかGmailの容量が3000MBに増量しているではないか!(笑)
さて、ここからが今日の本題である。10月10日から「モバイル版AdSense」が始まった。これは携帯サイトに貼り付けることができるGoogleの広告サービスである。モバイル版Adsenseを利用するには「Mediapartners-Google」と呼ばれるクローラーを受け入れる必要があるのだ。「Mediapartners-Google」とはページに最適な広告を表示するために、ホームページ内の広告にマッチしたキーワードを拾い出すGooglebotの仲間である。
しかし当サイトではIPアドレスを利用してパソコンと携帯端末のアクセスを振り分ける方法を紹介し、簡単に携帯専用サイトを構築する方法を紹介しているが、このように構築された携帯専用サイトではそのまま「モバイル版AdSense」を利用できないのである。なぜなら、携帯電話会社のIPアドレス以外のアクセスは拒否(あるいはパソコン用サイトへ転送)されるからだ。
Googleのヘルプではこのクローラーが使うIPアドレスが示されておらず、暗にクローラーのUserAgentで携帯専用サイトに受け入れるよう指示している。それどころか
モバイル ウェブサイトへのアクセスを特定の IP アドレスに限定している場合、広告を配信するためウェブページをクロールすることができませんのでご注意ください
とまで書かれており、当サイトで示している携帯サイトの構築方法では使えないことを示唆している。
ところが、である。Googlebotも特定のIPアドレスから来ていることは当然なので、そのIPアドレスを指定してやることにより、携帯専用サイトにGooglebotを招き入れることが可能なのだ。サーバーのアクセスログを調べてみると「Mediapartners-Google」をはじめ、検索インデックスを作成するGooglebot達も「googlebot.com」というドメイン名から訪問していることがわかった。ここまでわかればあとは簡単で、特定ドメインが使用しているIPアドレス空間が割り出せるWHOISを調べれば、Googlebotが使用しているIPアドレスがわかる。そして携帯専用サイトにGooglebotを招き入れることが可能になる。このようにして調べたところ「googlebot.com」が押さえているIPアドレスは「66.249.64.0/19」の範囲であることがわかった(今日現在)。したがって、htaccessファイルでパソコンと携帯専用サイトを振り分けている場合は、htaccessファイルに下記の記述を追加することにより、googlebotのアクセスが可能となるのである。
# GoogleBot
allow from 66.249.64.0/19
これでIPアドレスで制限している携帯専用サイトでも「モバイル版AdSense」を導入することができるし、それどころかGoogleの検索にも携帯専用サイトの検索結果を表示させることが可能となり、アクセスアップも望めるかもしれない。
※ちなみにgooglebot.comが所有しているIPアドレス「66.249.64.0/19」の中には66.249.64.209~66.249.64.255のように「逆引き」ができないIPアドレスが多数存在しています
※このIPアドレスはこの記事を執筆した時点のものであり、今後、変更される可能性がないとは言い切れません。ご利用に当たっては自己責任でお願いします。
ちなみに、なぜホスト名(ドメイン名)がわかっているのに、ホスト名で振り分けずにIPアドレスで振り分けるのかというと、ホスト名で振り分けた場合、そのサイトへアクセスするごとに「DNSサーバーへの問い合わせ」という手順が入り、アクセスが微妙に遅くなるほか、サーバー能力によってはそれにより負荷が増大することもあるためである。また2005年10月には全国的にネームサーバーが引けない事故も発生したこともあり、安定した運用のためにはホスト名の指定はおすすめできない。
またUserAgentで振り分けることも可能であるが、一部のブラウザではUserAgentを偽装することができ、偽装することによってパソコンで携帯サイトにアクセスすることもできる。最近は中国のIPアドレスからDoCoMoのUserAgentを名乗ってアクセスするものや、韓国のIPアドレスでGooglebotを偽装したものが確認されている。