5歳児、メールを送る

昨夜、5歳になる娘が「お母さんにメールを送りたい」と言い出した。

母親は遠くにいるわけではなく、娘の隣にいたのでメールを送るまでもなく会話をすればいいのだが、子供が愛読している『こどもチャレンジ』の付録に近々「ひらがなパソコン」というおもちゃが付き、それにメール機能がついているということで、その付録が届く前にメールというものを"予習"したいようなのだ。

既に、娘にパソコンを使わせていることは、ここでも何度か触れているが、最近、高校総体の事務方が使っていた払い下げ品の中古パソコンを入手し、娘専用パソコンとして持たせている。WindowsXPの本物のhp製のノートPCである。しかし、その用途は主に動画サイトでアニメを見たり、NHK教育テレビの子供向けのサイトで簡単なゲームをしたりと、パソコンと言うよりはテレビと化しているため、基本的にOSとブラウザ、セキュリティ対策ソフトしか入っていない。メールを使うという用途は想定していなかった。

メールの送り方も隣にいる母親に教えてもらえば良さそうなのだが、メールを送りたい相手に教えてもらうのは、娘なりにもおかしいと感じているようで、隣の部屋にいた私に「メールの送り方を教えて」とせがんできたのだ。

ところが「ひらがなパソコン」についているメール機能は、予告を見る限りでは「ひらがなパソコン」本体に子機をつないで、本体で入力した内容を子機に転送するだけのものである。そしてその子機に送られたメールを親に見せるという"運用"になっている。最近の未就学児向けの教材はハイテク過ぎて驚かされるが、本格的なメールではない。

娘は、ひらがな、カタカナの読み書きはできるので、本物のパソコンを「かな入力」に設定することで、これまでも簡単な文章を書くことはできていた。ただ、メールソフトはインストールしていないので、今回はWebメールを使ってもらうことにした。実は娘はメールアドレスだけは持っているのだ。最近、めっきり更新していない娘の成長記録ブログ用に取得した娘の名前の独自ドメイン名のものである。しかし、このアドレス、父親...すなわち私がGoogle Appsのテスト用として触っているためマニアックにカスタマイズされている。これらの設定を普通の状態に戻して、Google Appsのメール画面からメールを作ってもらうことにした。「おもちゃのメール機能」を飛び越え、いきなり「クラウドコンピューティング」の世界である。

さて、娘のメールは、どんな内容なのか、のぞき見ると「おかあさんいつもありがとうおりようりもおいしいよ(原文のまま)」といった他愛ない内容であった。普段、口に出して言わないが、文字にすると素直になれるという感情は年齢に関係ないようだ。

本文はできたがメールには「メールアドレス」「件名」という概念がある。これは「ひらがなパソコン」にはない機能である。「メールアドレス」はアルファベットなので、メールの宛先となる母親に入力させ、「件名」には「短い言葉で題名をつけて」と教えておいた。変に勘のいい娘は「おかあさんへ」という件名を付けた。そして自分で「送信」ボタンを押させた。生まれて初めてのメール体験である。

そして、娘は母親のパソコンをのぞき込み、自分のメールがちゃんと届いていることを確認。しかも「おかあさんも返事を書いて」と催促するではないか。そして、その返事に対して、また自分で返事を書いていた。

その後、母親から口頭で「お父さんにはメールを出さないの?」と問われたときの娘の返事が...

「お父さんには出さない」

将来、メールだけで会話する親子関係にはなりたくないが、それ以上にショックであった。